コレクション
松岡清次郎のコレクションは日本画から始まりました。その後、中国、日本、朝鮮、ベトナムなどの陶磁器、西洋絵画、現代彫刻、古代東洋彫刻、古代オリエント美術などへと広がってゆきました。
現在、常設展示をしている古代ローマ彫刻、古代エジプト美術、古代東洋彫刻、近現代彫刻は美術館創設を決意した後に「日本ではあまり見られないものを紹介したい」との意欲から蒐集しました。
さらに、晩年には国内の公募展に足を運び、長年の蒐集で培った審美眼で、若手作家の作品を買い上げています。
彫刻
— Sculpture —
近現代彫刻Modern
晩年、清次郎は「野外彫刻美術館を建てたい」という構想を抱いていました。そのため、西洋彫刻 約20件のうちの多くは、大型作品が一挙に売り立てられた1987年5月サザビーズ・ニューヨークで一度に取得しています。ヘンリー・ムア《台に坐る母と子》、エミール=アントワーヌ・ブールデル《ペネロープ》をはじめ、それらは白金台新館にて初公開となりました。
また、国内の公募展で取得した、日本の彫刻10数件も所蔵しています。
古代東洋彫刻Ancient Asia
古代ギリシア・ヘレニズム文化の香るガンダーラの仏教彫刻を好んだ清次郎は、美術館開館の10年以上前に奈良中宮寺、京都広隆寺の弥勒菩薩の源流のひとつとされる《菩薩半跏思惟像》を取得してから、如来や菩薩の独尊像、釈迦の生涯を浮彫で表わした《仏伝図》など貴重な作品を多数蒐集しました。
さらに国内では珍しいインドのヒンドゥー教神像群やクメール彫刻、そして中国仏教彫刻も含め56件を常設展示しています。
古代ギリシア・ローマ彫刻
Greco-Roman
中国陶磁を求め海外へと赴く度に各国の名だたる美術館を見学していた清次郎は、古代西洋の悠久の歴史が生んだ美術を日本でも紹介したいと願い、1975年の開館前後に集中して精力的な蒐集を行いました。
ヘレニズム期の《ミネルヴァ》をはじめ、大理石頭部や素焼きの人形、ローマ時代2~3世紀頃の大理石彫刻などを中心に45件あまりを所蔵しており、その中には紀元前3200~紀元前2700年頃の《ヴァイオリン型偶像》など、とりわけ古い作品も数例含まれます。