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美しい人びと 松園からローランサンまで

会期

2023.02.21〜2023.06.04

展示室

展示室5,6

「美人画」 という言葉が一般的になったのは明治期以降ですが、美しい女性像は古くは神や仏の姿、また正倉院に伝わる唐時代の女性図などに見出すことができます。
そして、在原業平や光源氏、源義経など物語に登場する魅力的な男性像も、多く絵画や工芸などに描かれてきました。
 今展では、上村松園、伊藤小坡、鏑木清方、伊東深水ら人気の高い「美人画家」たちの作品とともに、江戸時代から昭和時代の日本の絵画と工芸、そして近代の西洋絵画にあらわされた、年齢や性別にとらわれない美しい人びとをご紹介いたします。
*前期・後期で額装作品と床の間の蒔絵棚をのぞき、展示替えをいたします。

上村 松園《春宵》前期展示

美しい女びと
 
近世初期に出現した京の賑わいを描く 「洛中洛外図」 を端緒として、野外遊楽図や邸内遊楽図に描き込まれた女性たちは、やがて舞妓や遊女一人ひとりに焦点があてられ、単独で描かれる美人図となりました。江戸時代に全盛をみる浮世絵版画で町美人も妍を競い、その命脈は鏑木清方や伊東深水ら近現代の美人画家へと繋がっています。

ここでは、江戸時代の肉筆浮世絵をはじめとして明治時代以降の「美人画家」 たちによる江戸から昭和前期までの女性たち、そして1970~80年代に初代館長 松岡清次郎が院展や日展、創画展などの公募展に足を運び、自ら選び抜いた大画面作品に息づく上代から桃山時代、そして現代を生きる女性たちの姿をご紹介します。
 
昨年1月に逝去された院展の松室加世子先生を追悼し、桃山時代のキリシタンをテーマとした《竪琴》、《燭光》 2作を初めて同時展示いたします。

松室 加世子《燭光》
蹄斎北馬《三都美人図》三幅対 後期展示
真野 満《藤三娘》
菊池 契月《寛永麗人》前期展示
林 美枝子《夏夕》

美しい男びと
 
ここでは、男性が描かれた作品をご紹介します。
前期は 『平家物語』 や 『伊勢物語』 に典拠した、下村観山、久隅守景らによる牛若丸、在原業平らの姿を、後期は池田蕉園・輝方による春秋の行楽図、鏑木清方の歌舞伎絵や、吉川霊華らによる中国人物が並びます。
 
通期展示する大山忠作 《辨慶 (市川團十郎)》 は、2022年に襲名披露興行が行われた第十三代目團十郎の父である先代の團十郎が、まさに十二代目襲名披露の舞台に取材した作品。前期は観山による牛若丸とともに主従の姿でご覧ください。
 
また、床の間の蒔絵棚に散らされた色紙形には、『源氏物語』から光源氏やその息子 夕霧の姿をみることができます。

大山 忠作《辨慶(市川團十郎)》

池田 輝方《紅葉狩》 後期展示
池田 蕉園《桜舟》 後期展示 

西洋の人びと
 
ここでは、油彩による西洋の女性像をご紹介します。
 
ルネサンス期に古代ローマ神話のヴィーナス像としてジョルジョーネら多くの画家たちが描いた 「横たわる裸婦」 は、近代になると女神から人間の女性へと主題を転じ、物議をかもしながらも魅力的な画題として名作の数々が生み出されました。その淵源は、展示室1でご覧いただける 《横たわる女人像》 など古代の人びとが豊穣への願いをこめた地母神の造形へと遡ることができるでしょう。
エンネル、ドニ、寺島龍一による変奏をご覧ください。
 
今展の最後は、英国ビクトリア朝時代の女性像や、ヴァン・ドンゲンが写し取った1920年代の魅惑的な女性たち、その同じ時代に創り出されたローランサンによる甘美な世界でしめくくります。

モーリス・ドニ《赤い寝椅子に横たわる裸婦》
チャールズ・E・ペルジーニ《束の間の喜び》
御殿飾り一式 前期展示

創立者 松岡清次郎が長女の初節句にしつらえた雛段飾りを展示室5 入り口横に展示しています。御所の紫宸殿(ししんでん)になぞらえた檜皮葺(ひわだぶき)の御殿飾りが豪華な京都製の一式です。

展示期間 2/21火~4/16日