昭和の日本画と洋画 松岡翁(1894-1989) 晩年の眼力
会期
2023.10.24〜2024.02.11
展示室
展示室5・6
世界有数の長寿国、日本。いまや、人生100年設計といわれる時代になりました。何かを始めたり、新たな道を拓くことを、年齢というくくりでためらう時代ではなくなったのです。少し前の世代ですが、95年の生涯を全うした松岡清次郎(1894 明治27-1989平成元年)もコレクションを充実させたのは70代半ば以降でした。日展、院展をはじめとする多くの団体公募展に自ら足を運び、じっくり選んだ日本画、洋画。のちに大成された画家たちの、若き日の無垢な作品もお見逃しなく。
日本画10件(12/12火より1件(郷倉和子《霧の中から》二曲一隻)を追加)、洋画18件の予定です。
◯ 日本画 出品予定作品
奈良・明日香の見事な風景を一望できる上居(じょうご)。その上空を飛ぶ3羽の鳥に家族の想いを託しました。
龍文石窟の唐時代に造営された奉先寺洞 廬舎那仏(ほうせんじどう るしゃなぶつ)が雨にけぶる荘厳な姿が描かれます。
優しい色使いが心地よい眠りをいざなうかのよう。愛犬も眠る「眠」シリーズの初期作品です。
かつて師の安田靫彦から天平彫刻の美を学んだ鎌倉が、奈良・興福寺の国宝に取材した作品です。
大森運夫《伝承・浄夜 毛越寺》二面 昭和56(1981)年 第8回創画展
毎年、正月二十日の夜祭に奉納される「延年の舞」が、壮大なスケール感をもってあらわされています。
晩秋の陽光を浴びて輝く草むらと漆黒の鴉との対比に興味をひかれて描いた作品。
雪に閉ざされた冬の暮らし。雪女が天空を覆い、キツネが跳梁する自然。龍美(りゅうみ)の独自の世界が広がります。
猫を飼えなかったため、「あちこち訪ね歩いて一番華やかに見える」上司の家の猫がモデルとなりました。
- 信太金昌 《聴秋悲夏》 昭和56(1981)年 第8回創画展
- 濱田 觀 《初夏》 昭和57(1982)年 第14回日展
◯ 洋画 出品予定作品
クールな、コンクリートの箱のような人間空間を模索した時期の作品。
強い風雨で海が荒れている状態を「時化(しけ)」といいます。臨場感あふれる作品です。
去来する想いを胸に、短期間で描き切りました。
エトルリアの壁画を背景に腰掛ける人物を配したもので、今日のスタイルの魁となりました。
インドへの取材旅行を重ね、厳しい自然環境に暮らす人々の力強さと生命力を活写しています。
亡き母を偲んで、一心に母子像を描いていた時期の作品です。
音楽に合わせ漲る力、見つめる視線…。平通の得意とする人物画です。
北欧の村を題材とした風景画が数多い中、本作は京都に取材しました。
雪に埋もれゆく線路やポイント、保線小屋をモティーフに詩情あふれる風景を描き出しました。
- 國領 經郎《若い群像》昭和50(1975)年 第7回日展
- 成井 弘 《プエルト・バヌース風景》昭和53(1978)年 第32回二紀展
- 宇野 一《丘の群居》 昭和54(1979)年 第11回日展
- 坂本 益夫《オンフルール港》 昭和57(1982)年 第36回二紀展
- 斎藤 求 《二人》 昭和58(1983)年 第58回独立展
- 田坂 乾 《ヴェネーチァ海辺》昭和59(1984)年 第46回一水会展
- 石川 滋彦《教会の見える運河》昭和59(1984)年 第48回新制作展
- 角 浩 《ベネチヤ異変》 昭和60(1985)年 第49回新制作展
- 北 久美子《午後の視線》 昭和60(1985)年 第39回二紀展