アジアのうつわ
会期
2024.02.27〜2024.06.02
展示室
展示室4
アジアの各地域で製作される陶磁器は、先行する中国の影響を受けながらもそれぞれの文化をもとに発展を続けてきました。
今回は12世紀に翡翠やカワセミの羽の色に例えられる釉色「翡色」を完成させ、高い評価を得た高麗青磁、動植物の生き生きとした様をのびやかに描いたベトナムの青花や五彩、志野焼や古伊万里など日本のやきものに加え、当館のメインコレクションである中国陶磁とともに展観いたします。長い歴史の中で独自の美意識をもとに、技術を磨き続けたアジア各地のうつわの魅力をご堪能ください。
優雅な魅力を持つ高麗青磁
高麗青磁は10世紀ごろ中国越州窯青磁の影響により誕生しました。主に貴族の使用、鑑賞を目的とし、他にはない文様と細やかな装飾が独特な優雅さを醸しています。
《青磁象嵌雲鶴菊花文盒子》は象嵌技法で雲中を舞う鶴の姿や菊花文が可憐に表現され、内側となる蓋の裏や器の底にも菊の文様が施されています。 このような手のひらに収まる小さい盒子に、貴族の女性たちは白粉などの化粧料を入れました。華やかな暮らしぶりが伺えます。
おおらかで柔らかなベトナム青花
14世紀後半から15世紀初頭、中国元時代の青花磁器に強い影響を受けて生産が始まったベトナム青花は、やがて地域性豊かな動植物が主文様になりました。
《青花鯰藻文輪花盤》は元青花の文様構成を踏襲していますが筆致はおおらかで、柔らかな地肌に中国陶磁には見られない魚の文様がゆったりと描かれています。
日本初の白いやきもの志野
安土桃山時代、茶の湯の流行とともに日本独自の美意識を反映したさまざまな茶陶が国内で多数生産されるようになり、瀬戸、美濃で志野焼が誕生しました。
《志野松図鉢》のピンホールと呼ばれる小さな穴が空いた柔らかい地肌と、浮き上がるように表された松の文様は、中国の白磁や青花とは異なる魅力があります。志野焼は日本で初めて下絵付けが可能になり、趣のある風物が描かれました。