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松岡コレクション めぐりあうものたち Vol.1 故きを温ねて
会場 展示室5・6
会期 2022年4月26日(火)― 7月24日(日)
前期 4月26日(火)— 6月5日(日)
後期 6月7日(火)— 7月24日(日)
悠久の時を経て今も記憶に残る人々、いつの世も変わらぬ願い。万人の共感を呼ぶこれらの主題は、古くから私たちの生活に浸透し、絵画の領域でも画家たちの発想の源となって多くの作品が生まれました。本展では歴史人物のエピソードや画面に込められた人々の願いをご紹介します。過去から現在、そして未来へ伝わっていく作品との出会いと、それぞれのテーマが持つ深遠な世界をお楽しみください。
作品には、主要なモティーフとともに、画家の思いが込められています。 堀川公子《古経を配す》は、かねてからの構想に拍車をかけた経文との出会いが生んだ作品です。 (~7/24日まで展示)
モデルは、「勧進帳」の辨慶の衣装を着けた 12代目 市川團十郎(1946 昭和21-2013平成25)。
背後の 不動明王が、屋号「成田屋」と成田山新勝寺との縁を表しています。 (~7/24日まで展示)
■ 松と鶴 後期 6/7火-7/24日
一年中青緑を保つ松と、千歳の寿の象徴である鶴は、古くからともによく描かれてきた画題です。西村五雲《老松遊鶴図》や、夫婦の長命と和合を寿ぐ謡曲「高砂」に取材した酒井抱一《相生松・尉姥》、また清楚な花をつける梅とともに鶴を描いた小林古径《丹頂》などを展示します。
■ 日本の伝説・故事 後期 6/7火-7/24日
長い歴史の間に起こった様々な出来事は、その多くが記録に残されましたが、いつしか架空のストーリーが織り交ざって混然一体となった物語も少なくありません。ここでは作品とともに、古くから語り継がれてきた伝承をお楽しみください。また、儒教の教えで尊ばれた忠(主君への忠義)と孝(親への孝行)をテーマとする小堀鞆音《忠臣楠公父子図・孝子小松内府図》)を出品します。
■ 人物を描く 後期 6/7火-7/24日
1 4世紀の《慈恩大師像》と下村観山の描く《臨済》、《一休禅師》など禅宗の僧侶を描いた作品や、隠遁生活を送りながら詩作した林和靖(りんなせい)などをテーマとした人物画をご紹介します。とりわけ禅宗の肖像画は、描かれる高僧の精神性に迫る表現を特徴としています。
■ 和歌の世界 後期 6/7火-7/24日
在原業平、藤原定家が詠んだ和歌の歌意を題材とした久隅守景《業平・定家》、小野小町をしのぐともいわれた才能豊かな女流歌人 伊勢を描いた清原雪信《伊勢》をご覧ください。
忘れては 夢かとぞ思ふ 思ひきや 雪ふみわけて 君をみむとは
(在原業平 小野の雪)
駒とめて 袖打ちはらふ かげもなし 佐野のわたりの 雪の夕暮
(藤原定家 新古今和歌集 )
裁ち縫わぬ 衣きし人も なきものを なに山姫の 布さらすらむ(伊勢 古今和歌集)
■ 新たな出会い (~7/24日まで展示)
線描の美しさと優美な色彩をもって歴史画を描き続けた真野満。伝統的なテーマにとらわれることなく、 熱心に古典研究を重ねて 「 発掘 」した印象深い人物やエピソードを取り上げています。
上毛野形名(かみつけののかたな)が、蝦夷との戦いに破れそうになった時、妻の勇気と機転で優勢を取り戻したという『日本書紀』に取材した作品。
藤原不比等の3女で、聖武天皇の妃となった光明皇后が法華経を繙くとき、天女が現れ祝福するさまが表されます。
当時の流行歌、今様(いまよう)を愛した後白河法皇の人間味あふれる一面を捉えた作品で、身分の差を超え、今様の名手 乙前(おとまえ)に歌を習ったという歴史のひとコマです。
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◎ (前期・6/5日まで)中国に由来する言葉・人
古来、先進の中国文化を摂取し、吸収してきた日本文化。ことわざや故事にまつわる作品をご案内します。
諸葛亮(孔明)は、27歳の頃、三顧の礼をもって劉備玄徳に迎えられたという軍師です。
彼が嫡子に残したと伝わる『誡子書』には、「学ぶにあらざれば以て才を広むるなく、志あるにあらざれば以て学を成すなし」(学ぶことで才能は開花し、志がなければ学問を大成させることはできない)との記述がみられます。
杉の古木に導かれるように視界が展開し、馬を牽いて登る農夫が雄大な光景を強調しています。画題の「萬代不易」(いつまでも変わらないこと)は、常緑の杉や山頂の万年雪であらわされます。
◎ (前期・6/5日まで)福を呼び込む花鳥画
中国絵画からもたらされた画題は、日本の絵画に深く浸透し描き継がれていきました。なかでも花鳥画は幸福のサインにあふれており、落葉期をもたない常緑樹は不老、華やかな牡丹は富貴を象徴しました。
◎ (前期・6/5日まで)とこしえへの願い
今も昔も不老不死は究願の願望です。古代中国では神仙になって仙術を用い、不老不死を実現するという神仙思想が流行し、民間に広まっていきました。日本でも仙人や蓬莱山は、数多の画家たちによってしばしば取り上げられています。