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松岡コレクション めぐりあうものたち Vol.3 幽玄の道
【会場】展示室 6
【会期】
2022.11.01 ~ 2023.02.05
※12/13火から一部展示替えがございます
能楽は奈良時代に中国から伝来した「散楽」という芸能が源流です。散楽のうちの物真似芸を起源とする猿楽が、観阿弥、世阿弥らによって能楽へと発展しました。また、能楽の代名詞ともいえる幽玄という語は中国の典籍に由来し、能楽の謡曲には中国の史実や伝説をもとに作られたものが多く存在します。本展では館蔵の能面と能に取材した絵画作品等を出陳し、異文化が交わり合い作られた幽玄の道をご紹介します。
■松岡美術館所蔵の能面、狂言面
松岡美術館所蔵の能面、狂言面は、鉄道敷設などで財を成した実業家 久米民之助(1861-1931)が大正2年にあつらえた能・狂言面一式で、近代の能楽復興隆盛の一端をうかがい知ることができる貴重な能楽関連資料といえます。当館の創設者 松岡清次郎も義太夫(ぎだゆう)など日本の古典芸能に早いうちから親しんだことから、この能・狂言面一式を蒐集したと考えられます。
久米民之助は能狂いと呼ばれる程、近代能楽復興に尽力した人物で、代々木に「代々木御殿」と呼ばれる邸宅を構え、敷地内に能舞台を設えました。この能舞台は多摩川園に移築され戦後の能楽復興の拠点となり、その後、青山の銕仙会能楽研修所に移築され現在に至ります。
■大陸文化の影響を受けた能楽
能楽の装束、謡曲の題材には大陸の文化の影響が色濃く残っています。能面や絵画と併せて、能に息づく大陸文化をご紹介します。